【ついに登場‼️】スポーツブログ b-Number 第2号/2015ドラフト会議 続編:これがプロスカウトの目か⁉️指名漏れになった二人の強打者に迫る‼️

ここにドラフト会議の運命の分かれ目とでも言おうか、一つの結果がある。 

「指名漏れ」…
それは、ほぼ確実にプロへの道が決まっていながら、球団事情や運命のイタズラによりどの球団からも指名がかからなかった選手を指す。今年に限ったことではないが、その選手の今後を大きく変えてしまいかねないものだ。今ドラフトおいては、特にこの2人が該当したと思われる。

谷田成吾(慶応大/外/右左)
菅野剛士(明治大/外/右左)
※()内は、ドラフト時点での所属/ポジション/投打

谷田は慶応大で4番を打ち、髙山俊(明治大/阪神1位)や吉田正尚(青学大/オリックス1位)らと大学日本代表でもスタメン、クリーンアップを打っていた東京六大学屈指のスラッガー。今ドラフトでは二人と並ぶ大学生野手の目玉として各球団は注目しており、上位で消えても不思議ではなかった。
高校(慶應義塾高)時代には通算76HRを放ち、神奈川県記録を作るなど飛ばす能力は抜群。慶応大の先輩、高橋由伸(現巨人監督)に重ね合わせて「ヨシノブ二世」との呼び声が高い。
菅野も日本代表ではないものの明治大では4番を打ち、東京六大学リーグ記録の
27二塁打(ドラフト時点)を樹立。同大学からは髙山、上原健太(日ハム1位)、坂本誠志郎(阪神2位)らと共に指名が有力と見られており、3人と揃って会見場に姿を見せていた。

今回、同じ右投げ左打ちの大学生外野手で指名されたのは4人。
髙山、吉田正の他には重信慎之介(早稲田大/巨人2位)、板山祐太郎(亜細亜大/阪神6位)。
この4人は大きく二つのタイプに分けることができるだろう。
一つは打撃が注目されるタイプ、もう一つは守備走塁に長けたタイプだ。

前者は結果が目に見えてわかりやすく、活躍できれば年俸も大きく上がる反面、一線級投手を打てないと長く活躍できない可能性が高い。髙山、吉田正はこちらに該当するかと考えられる。
後者は前者ほど光が当たらない可能性はあるが、縁の下の力持ち的な、いわば
「いぶし銀」と呼ばれる存在になり得ることができ、ポテンシャル次第では一年目から一軍デビューということも夢ではないだろう。
巨人の鈴木尚広のようなスペシャリストに代表されるタイプがこれにあたり、重信、板山はこちらに当たるのではないか。
そして、谷田、菅野は多くのスカウティングレポートから判断するに前者だろう。

毎年、ドラフトといえば各球団はこぞって投手を上位にリストアップし、野手に関しては、よほどの逸材でもないと競合はおろか上位指名すらなかった。
それが今年はどうだろう?
多くの球団が野手を比較的上位にリストアップ、1巡目では競合も含めて5球団が野手を指名。この野手有利な今年のドラフトにおいて、これほどの好打者2人が指名されなかった理由はどこにあるのか?

90年代に現れた稀代のヒットメーカーであるイチロー(現マーリンズ)やホームランバッターである松井秀喜(元巨人、ヤンキース)に代表される「右投げ左打ち」。一塁への距離が右打者と比べて短い為、早く到達できるという利点から特に俊足プレーヤーを左打者に育てる少年野球の指導者が増えた結果、今や高校野球においても甲子園出場選手の半数以上は左打者(左投げ含む)だという。
右投げ左打ちの場合、インパクトで押し込む手は利き手ではない左手になるので、どうしても左投げ左打ち(左利き)より押し込みが弱くなる傾向がある。
故に、イチローのように抜群のバットコントロール(器用さ)や松井のようなケタ外れのパワーがない選手だと今回のように指名されないケースもでてくるだろう。
今やプロの需要は右投げ(右利き)の場合は右打者の方が多くなっているかもしれない。
その点において、髙山は東京六大学リーグ記録の136安打を誇るバットコントロール、
吉田正は高校日本代表との壮行試合で見せた2打席連続HRのパワー、これらはプロの評価に一致したのではないか。
また、守備や走塁で飯が食える選手はこれとは違う基準で評価されることも多くあり、重信は走塁が予想以上に評価されたといえるだろう。

とはいえ、各チーム事情はあるにせよ、谷田は運命のイタズラとしかいいようがない結果かとも思う。吉田正と同等の評価をされながらの指名漏れ。ドラフト直後からすでに社会人野球の10チーム以上からオファーがあり、進路が決まりそうだ。心の内では泣きたいくらいつらいと思うが、翌日には彼はすでに前を向いていた。
ドラフト解禁となる自身の2年後についてテレビのインタビューで、
「非の打ち所がない選手になりたい」と語っている。
そしてもうひとり…
菅野もまた「切り替えができないほどのショック」を受けながら、
大学最後のリーグ戦へと気持ちを向けた。
その試合で負けはしたものの、自身が持つ東京六大学リーグの二塁打記録を28へと伸ばした。本当に素晴らしいと思う。

夢のプロ野球選手への道が目の前で途切れ、自暴自棄になりそうな自分と闘い、
それでも前を向いて進む彼らに心からエールを贈りたい。
2000本安打を達成した、古田敦也(元ヤクルト)、和田一浩(元中日)も社会人からのプロ入りなんだから…